傷(キズ)の応急処置の方法
調理中に包丁などで指を切ったりすることはよくあることです。
間違った方法で応急処置をして医療機関に来る患者さんがが多いのが現状です。
正しい応急処置の仕方を説明します。
1)局所を圧迫して止血
指を包丁などで切ると出血してつい慌ててしまいます。このような時は出血している部位を圧迫して止血するのが基本です。身近にある清潔な物(手ぬぐい、ハンカチ、ティッシュなど)を出血部に当てその上から指で押さえます。この状態を10分から15分くらい続けるとほぼ止血します。
指の根元をゴムで縛るようなことは絶対やめてください。このような方法は止血はできますが指への血行が悪くなり長時間放置すると指が死んでしまう可能性があります。ただし肘より上または膝から上の部位の動脈からの出血は血が噴き出る圧が極めて高いので局所の圧迫による止血は困難かもしれません。このような時は中枢部を緊迫して止血するしかありません。そして救急車を呼びできるだけ早く病院を受診してください。
2) 水道水で洗浄する
止血されたら傷の洗浄を行います。蛇口から水道水を出しその水圧を利用して汚れや異物を洗い流します。
この処置が化膿を防ぐうえで最も大切です。目で見える泥や砂などの異物はできる限り除去してください。
3) 消毒は必要無い
消毒は必ずしも必要ありません。もし使うとすればイソジン、マキロンなどがよいと思います。不適切な薬を傷に塗ってくる患者さんをよく見かけます。何か薬を傷につけないと傷が治らないと考えている人が多いと思いますがそれは間違いです。傷は体自身の治癒する力で治っていくものであり、薬の作用で治るものではありません。異物や汚れなど傷の治癒に障害となるものを取り除き傷が治りやすい環境を作ることが大切です。
4) 傷の閉鎖
バンドエイド、カットバンなどの絆創膏を貼ります。キズパワーパッドなどの創傷被覆材を貼るのも良いと思いますが、感染がある場合に使用しないでください。感染がある場合に創傷被覆材を使うと、創が密閉されてしまうことにより膿や浸出液が排出できなくなり、感染が創の深部に広がってしまいます。
5)病院・医院を受診する
応急処置が済んだらできるだけ速やかに病院や医院を受診してください。